大工だったお父様が、住みながら少しずつ手作りしたという思い出が詰まった家を、「できる限り残したい」と米田木材に相談へ。とはいうものの、築46年の住まいは屋内でも吐く息が白くなるほど寒く、柱や床の傾きがみられるなど、大がかりなテコ入れが必要だったそう。解体し、建て替えも検討したが、「同じ予算でできるのは、小さくて平凡な家。それなら…」と、リノベーションを依頼した。
　家族それぞれがデザインにこだわりがあったため、親世帯が暮らす1階は京町家のようなシックな佇まいに、子世帯となる2階はインダストリアル・スタイルに。耐震性や断熱性は新築同等の性能を持たせつつ、格子天井や欄間、玄関の敷台など、今となっては貴重な部材は再利用し、リノベーションならではの趣ある住まいが誕生した。「今までは寒くて、家の一部しか使っていませんでしたが、これだけ広くても家中が暖かくて感動です」。これからも、家族の思い出を積み重ねていくのを心待ちにしている。